360: 名無しさん@おーぷん 2015/04/04(土)17:17:20 ID:Dhn
修羅場とは少し違うけど、
私の実家と夫の実家のぎくしゃくが原因で起こった事件の話

義実家は絵にかいたような上流家庭で、
割と貧しい家で育った私は、その空気にあまり馴染めなかった
うまく溶け込もうとはしていたのだけど、
住む世界が違うという感じで、どうも話がかみ合わない

義両親ももったいないくらい優しい方々で、
馴染めない私にとても気をつかってくださったのだけど、
そうすると余計に疎外感を感じてしまって、うまくいかなかった

 
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私自身がそうなのだから、私の実両親はもちろん義両親とうまく付き合えず、
実家と義実家はほとんど交流がなかった

これでは悲しいということで、今から十年前のお正月、
義両親、夫、私、九歳、六歳の私の息子が集まった義両親家に、
私の実弟が挨拶に来ることになった



361: 名無しさん@おーぷん 2015/04/04(土)17:17:43 ID:Dhn
義両親も歓迎してくださって、初めの挨拶はとても和やかに終わった
でもその後が続かない
話せば話すほど変な違和感ばっかりふくらむ感じで、
弟は途中からほとんど無言で相づちを打つだけになってしまった

しばらくして弟がこそこそ席を立った
私の息子たちが遊んでいる隣室に入っていった
なんだったのか、後から聞くと、
手洗いに行きたくなったけど、場所がわからず、
しかし義両親には聞きづらいので、息子たちに聞きに行ったということらしかった

戻ってきた弟に、息子二人がついて来た
なんだか場の空気がほっとした感じになって、
義母が嬉しそうに二人を構いはじめた
それで、下の子は楽しそうに料理をほおばったりし始めたのだけど、
上の子はじっと弟を見つめて、
「おじちゃん(私の弟)、楽しくないん?」
と、言った

362: 名無しさん@おーぷん 2015/04/04(土)17:18:00 ID:Dhn
「そんなことない。楽しいよ」弟が言った
「でもおじちゃん、楽しくなさそうやん」
「そんなことないよ」
「ある。全然笑ってないやん」
「そうかな。なんでやろ。初めての場所やから緊張してるんかな」

凍りついたような空気の中、息子は、今度は夫と義両親に言った
「おじちゃん、トイレの場所を僕に聞きに来たんやけど」
「……」
「なんで教えてあげへんかったん」

私は慌てて言った
「おじちゃんがトイレ探してるなんて、知らんかってん」
「なんで?」
「聞けへんかったから」弟が言った
「聞いても教えてくれへんの? 意地悪されてるん?」
「それは違う!」
「じゃあ、なんで?」

無言になった私と弟の代わりに、夫が言った
「あのな、難しい事情があるんや。だから今は向こうに行ってなさい」
息子は言った
「困ってる人をほっとく事情って、何なん?」
今度は誰も何も答えられなかった

363: 名無しさん@おーぷん 2015/04/04(土)17:18:36 ID:Dhn
突然、義父が私と弟に頭をさげた
「申し訳なかった。今まで、どうやら私たちの方で壁を作ってきたのかもしれない」

義父に頭を下げられたのは、それが初めてだった
無口で、なのに気づかい上手な義父で、
謝られるようなことなんて、一度もされたことがなかった

恐縮のあまり、涙が出た
「頭をあげてください」
でも、義父は頭をあげてくれない
義母までその隣りで、手をついて頭を下げてきた
異様な雰囲気に、下の息子が泣きはじめた
私は何も言えなかった

結局その修羅場は夫が収拾をつけてくれて、
しかもそれを切っ掛けに、私と義父母は胸を開いた話ができるようになり、
自然と、私の実家と義実家も親密になっていき、
全てが丸く収まってしまった

次の五月の連休、実両親と義両親の四人だけで旅行に行くという話を聞いて
思い出した十年前の修羅場でした

長くなって、申し訳ありません

引用元: ・今までにあった修羅場を語れ【その9】




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1001: 以下、おすすめ記事をお送りします: 2015年05月26日 22:19 ID:kidanmatome