66: 名無し@話し合い中 2006/10/13 17:45:23

両親は、仲が悪いのだと思っていた。 
冷たく見えるぐらい素っ気なかったから。 

両親の兄弟姉妹などから、幼なじみで大恋愛だったとか、周りの反対を押しきって結婚したんだとか聞かされても、到底信じられなかった。 


母が子宮癌で手術を受けた。 
手術の終わる時刻を見計らって病院へ行くと、父が母のベッドの傍に座り、好きな歴史小説を読んでいた。 
麻酔から覚醒したのか、母が痛い痛いと呻きだした。 
父は即座に小説を閉じ、母の右手を両手で包み込んだ。 
『ユミ、大丈夫だよユミ…』 
まだ意識が戻りきっていないながらも、父の声に母が反応して答えた。 
「タカちゃん…痛いよ…タカちゃん…」 

父と母が名前で呼び合うのを聞いたのは、それが初めてで、最後だった。 




母の通夜の後、棺の中の母の頬を何度も何度も父は撫でていた。 
黙って撫でていた。
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67: 名無し@話し合い中 2006/10/13 19:00:22
バ・・!これは涙じゃねえ!
心の涙だ!

68: 名無し@話し合い中 2006/10/13 19:59:12
どのみち涙じゃねえか!!

70: 名無し@話し合い中 2006/10/14 00:47:52
そういや、名前で呼ばなくなったな・・・




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1001: 以下、おすすめ記事をお送りします: 2013年12月26日 20:00 ID:kidanmatome